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新鵜
(「新鵜」は元七尾市立図書館長の 梶井重雄氏が昭和32年2月25日にに創刊した同人誌)
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新鵜 第3号(昭和32年9月23日発行)p.91
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能 登 の 旅 江戸さい子
田鶴浜笠師保あたり過ぎゆきぬ能登万葉の歌おもひつつ
能登鹿島郡境の穴水を過ぎたる汽車は山峡に入る
輪島町汽車のかよふにたずね来て漆の香をばなつかしむかな
初秋と思ふあしたのいやや荒し外浦の風外浦の波
わじま崎灯台の灯もこの海のあはびの貝の光してたつ
輪島崎まわれば鴨の浦見えてすがすがしけれ初秋の海
相むかふ能登鴨浦光うら抱くは青き初秋の海
吹雪する日に備ふるやとがりつつ光の浦のはなに立つ岩
海の風端より奥へ吹き通る洞門ありて浜涼しけれ
岩つばめ乱れて飛べり亀石のかしらを洗ふ白波の上
袖が浜五色の石を今日は見ず歌の光を持たぬ身のごと
七つ島七里離れて近よらず鳳来山の松は呼べども
ななつじま七里はなれて影淡し舳倉の島は更に遥けし
初秋の鳳至の浦を見はるかし比古神崎の松かげに立つ
あさつゆに濡れつつ萩のなびくなり幸神塚にのぼる山みち
秋の霧晴れゆく方に見ゆるかな能登の奥なる珠洲も曽々木も
海女の村とざせる家を多く見る夏は大方島にわたりて
汐ごろもあらめに似るを着たる海女舳倉へ行かで二人語らふ
旅人の乗らん舟なし鳳至より珠洲へ渡さん虹だにも立て
うちしぶく波につばさをひるがへし白き鳥とぶ突堤のはし
ひとむらのひるがほ咲けり渚なる洞に土工が寝る岩の上
袖が浜かへりみすれば波清し観光道路ひとめぐりして
舟に乗り塵を避くてふ名工のわざたふとまむ能登の沖塗
輪島町夕日の照れば塗師が在るくらに珊瑚の色をぬるかな
ひぐらしは我れを誘ヘど三冝荘松籟庵も開けず此の園
一本松にて二首
山に湧く授けの清水たまはらん渇ける身にも折りし花にも
まつり日の赤き灯ともり旗ぞ立つ浜の薬師の十二神将
おくつきに袖が浜なる玉砂利を運びてまつる里のうらぼん
めづらしき井戸をはひりに先づ見たり紅がらぬりの母屋づくりなる
久保屋の離れにて
国宝の菩薩おもてにまみえねどみづみづしくも仰ぐ神垣
重蔵神社にて
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