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村上春樹

  アイテム一覧  
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1Q84(1) 1Q84(2) ノルウェイの森 上 (講談社文庫) ノルウェイの森 下 (講談社文庫) さよなら、愛しい人 海辺のカフカ (下) (新潮文庫) 海辺のカフカ (上) (新潮文庫) グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
1Q84(1) 1Q84(2) ノルウェイの森 上 (講談社文.. ノルウェイの森 下 (講談社文.. さよなら、愛しい人 海辺のカフカ (下) (新潮文.. 海辺のカフカ (上) (新潮文.. グレート・ギャツビー (村上春.. モンキービジネス 2009 S.. 世界の終りとハードボイルド・ワ..

1 

1Q84(1)

[ 単行本 ]
1Q84(1)

・村上春樹
【新潮社】
発売日: 2009-05-29

参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
1Q84(1) ※一部大型商品を除く
村上春樹
村上春樹
カスタマー平均評価:  4
村上春樹は、進化する作家だ。
“デタッチメントからコミットメントへ”なんていう標語をアテにしたくはないが、『アンダーグラウンド』以降の村上春樹は、それまでのように人物を「あちら側」の世界に置き去りにすることはせず(それは容易にカルトの思想に転落してしまうから)、あくまで「こちら側」の世界に留まり続けようとする人々の物語を、一貫して描いてきた。

しかし本作では、カルト的な「あちら側」の実在性がいよいよ物語として真実味を帯び、そして実証されるに至ってしまっている。ラストシーンも「あちら側」の世界に置き去りにされた主人公が「自分がいかに日常のなかで大切なものを見失っていたかに気付かされ、そして現実との対決の意欲を見せる」という、『ねじまき鳥』の二部ラストを彷彿とさせるものだ。いったい村上春樹は、どこへ行こうとしているのだろうか……?

ただ、「安易な場所に物語を着地させない」という、作者による手探りの意思はひしひしと感じられる。「BOOK1〈4月〜6月〉」「BOOK2〈7月〜9月〉」という意味深な刊行形態や、「カフカの二倍、ねじまき鳥より長い」という前情報、そして『ねじまき鳥』も「まさかの三部」として解決編となる第三部が出版されたことなどから考えると、たぶん続きは書かれるだろうと思う。それとも主人公たちは、永遠に「あちら側」の世界に投げ出されたままになってしまうのだろうか……。 完結?続刊?
 これから、いろいろな批評や賞賛を受けることになるのでしょう。 「海辺のカフカ」以来の長編小説です。 
 その間には、ノーベル賞候補、エルサレム賞受賞とそのスピーチ、それから「ノルウェイの森」映画化など、様々なニュースが伝えられました。発売日に発行部数が68万部にも及ぶような周囲の環境の変化に加え、あるいはご自身の心境の変化もあったのかもしれません。 
  
 私は、(自分にとっては結構深刻な)検査の結果を待つ病院の待合室で「1Q84」を読みはじめました。 
 「ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』」「…老練な漁師のように、」。1ページ目だけで 村上春樹さんの本を読んでいる と強く感じられ、「途切れなく並んだ“患者さん”の列」もあまり気にならなくなりました。 
 小説や新宗教といった現実的な題材に少し驚きながら、いつの間にか2時間あまりが過ぎ、家に持ち帰って全て読み終えた今、やはり村上春樹さんの 特別さ を感じずにはいられません。次の作品(続編?)を待ちながら、改めて読み直してみたいと思います。 1Q84 BOOK1、2
結論を先に言うと、

以前から村上春樹の作品が好きなファンにとっては、非常に満足できる
意欲作かもしれないが、以前から村上春樹を評価していない人、見切り
をつけている人は、新たに読む必要はないかもしれない。

作風やテーマは変化しても、その根底にある著者の思想というか価値観は
変わっていない。根底が変わっていないため、前編は、新しい芽のような
変化が見られて面白かったのだが、後編は、ストーリー展開が結局いつも
と同じパターンになってしまっている。いつもと同じパターンとは、

1)主人公の男性が、才能はあるがそれを形にすることができない少女の
登場をきっかけに、現実とは異なる世界に巻き込まれていく。

2)主人公の女性も登場する。この二人の物語が同時進行して交差する。
現実の世界と、そうではない世界の境界をさまよい、時間と空間を超えて
邂逅する主人公の男女。純粋な恋愛。ここに魅かれる読者は多いだろう。

3)周囲の登場人物たちが姿を消し、「失われ」ていく。主人公の女性も、
自己犠牲によって、周辺的な、「失われ」ていく立場に移行する。しかし、
主人公の男性は、ちゃっかり安全なポジションにいて、物語の軸となって
いく。

村上春樹は文章が上手く、作家として読ませる力があるので、つい作品を
読み進んでしまうのだが、そこに表出する思想や価値観が、保守的で古臭い
ので、読了後、空しくなることが多い。もう当分読むつもりはないが、次の
作品に期待したい。 進歩なし
かつて村上春樹はブランドだった。
だけどこの小説で、村上春樹はブランドモノから教祖様になった。
何が書かれていようと信者は教祖の前にただひれ伏し、お言葉を
ありがたるだけでよい。ただし信者でない者には、無用の長物である。 神様仏様村上様
作家の意図として先入観を持たずに読んで欲しい、と聞いた気がするので
前情報を入れずに読むことにして今読んでいます。

こうやって”知らないもの”を見る・知ることが最近は少なく、知らずの内に
見聞きする作品の見所を頭に入力してからそれを追う様な、ある意味貧相な見方に
慣れてしまっているきらいがあるので、こうやってニュートラルに文字を追えることを
素直に楽しんでいます。

好きな作家で期待が大きいせいもあるでしょうが、文字の一つ一つが瑞々しく
感じられます。
またこうした真新しい物語を今読めることはうれしい限りなので、
これから読まれる皆さんは前情報を入れずに読まれてから他の読者のレビューを
ご自身の感想を比較してみては如何かと思います。

という訳で作品そのものについては何も具体的に言っていません。
すみません。 レビューは読後に読むとして、先ずは作品を読んでみましょう。

1Q84(2)

[ 単行本 ]
1Q84(2)

・村上春樹
【新潮社】
発売日: 2009-05-29

参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
1Q84(2) ※一部大型商品を除く
村上春樹
村上春樹
カスタマー平均評価:  4.5
結論を先に言うと、

以前から村上春樹の作品が好きなファンにとっては、非常に満足できる
意欲作かもしれないが、以前から村上春樹を評価していない人、見切り
をつけている人は、新たに読む必要はないかもしれない。

作風やテーマは変化しても、その根底にある著者の思想というか価値観は
変わっていない。根底が変わっていないため、前編は、新しい芽のような
変化が見られて面白かったのだが、後編は、ストーリー展開が結局いつも
と同じパターンになってしまっている。いつもと同じパターンとは、

1)主人公の男性が、才能はあるがそれを形にすることができない少女の
登場をきっかけに、現実とは異なる世界に巻き込まれていく。

2)主人公の女性も登場する。この二人の物語が同時進行して交差する。
現実の世界と、そうではない世界の境界をさまよい、時間と空間を超えて
邂逅する主人公の男女。純粋な恋愛。ここに魅かれる読者は多いだろう。

3)周囲の登場人物たちが姿を消し、「失われ」ていく。主人公の女性も、
自己犠牲によって、周辺的な、「失われ」ていく立場に移行する。しかし、
主人公の男性は、ちゃっかり安全なポジションにいて、物語の軸となって
いく。

村上春樹は文章が上手く、作家として読ませる力があるので、つい作品を
読み進んでしまうのだが、そこに表出する思想や価値観が、保守的で古臭い
ので、読了後、空しくなることが多い。もう当分読むつもりはないが、次の
作品に期待したい。 進歩なし
海辺のカフカやアフターダークもそうでしたが、まず『世界の不条理』が示され、物語がすすむにつれて『実存の不条理』へと移行していきます。

まだ続きの物語がありそうなので、今の時点での評価は避けますが、今後の期待も込めて星4つ。 決して『救われる』物語ではない
 これまでの村上春樹さんの小説やエッセイ、インタビューの中から、色々なモチーフが集約されていると感じた。それらのモチーフを統合して、一つのとても大きな物語になっている。そして、この物語は今まで読んだことのない、まったく新しい物語であることは間違いない。
 似ていたり比較できるような小説も、映画も音楽も思い浮かばない。フィクションなのか、ノンフィクションなのかも判然としない。

 様々な言語に翻訳され、世界中の違った歴史と文化を持った人達に読まれるようになった時、社会現象どころか世界現象を起こすような可能性と多様性をこの小説は持っていると思う。
 
 オープンエンドになっており、今のところ続きがあるのかわからないが、この1、2だけでも充分楽しめる。この物語の続きを想像したり等して。

 
 

  世界標準
特別な体験
を通して、主人公たちは、変わっていく。
それは、ここではないどこかに生きることではなく、現実を直視し受け入れて

この世界
を生きることだ。
トンネルを抜けると入る前と入った後では、変わってしまっている。

しかし
その事実とは関係なく、道は繋がっているのだ。


そして、この物語
は、どのような意味においても、まだ終わっていない。

必ず、続くだろう。 これで終わりじゃない。
一気に読み終えました。
まだ、ぼんやりとした、まるで長い夢から覚めたような感覚です。
もっとこの本の世界に浮遊していたかった、そんな気持ちが残りました。

内容についての感想は…ここで述べる必要はない気がします。
だって、読んだ後のこの感覚は、きっと読んだ人にしか分からないから。
五感を研ぎ澄まして、どっぷりとこの本の世界に浸って下さい。
五感で味わう本

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

[ 文庫 ]
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

・村上 春樹
【講談社】
発売日: 2004-09-15

参考価格: 540 円(税込)
販売価格: 540 円(税込)
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
村上 春樹
村上 春樹
カスタマー平均評価:  4
登場人物がみんな気持ち悪い。リアルを描こうとしているが、逆にリアルさに欠けてるんじゃないかな。セックスばっかして・・・なんで緑さんとまでするかねwww

カンガルー日和は最高に面白かったけどね。
そんなにいいか?
情景的で情緒的な描写の1つ1つで、
物静かで物憂げな世界観が鮮やかに描かれている。
死のイメージと官能的な描写も織り交ざり、
寂しさと温もりがもやもやと混ざり合ったような不思議な感覚を味わえる。
その世界に、ゆるゆると引き込まれるような、
ふわふわと漂うような、そんな独特な感覚がとても心地いい。

全体的な表現や描写からは、柔らかで上品なイメージを受けるけれど、
露骨な性描写や諦観的な主人公の態度で、そのイメージが絶妙に崩されている。
ヴォネガットやサリンジャーを彷彿とさせる雰囲気があるような気がした。

こういった感傷的な世界観が好きな人にはすごくハマるだろうし、
好きじゃない人にとっては何がいいのか理解できないといった印象になると思う。
主観的にはそれほど好きではないけれど、
客観的にはそれほど悪くないと思える。

いい小説だと感じました。

好きな人にはすごくハマると思う。
日本を代表する文学者として世界に知られる村上春樹氏の、代表作にしてベストセラー作品。

ここに投稿された様々なレビューを見ても分かる通り、かなり好き嫌いが分かれる小説。自分は…残念ながら否定派である。まず、自殺者が多すぎ。その死も全く重みが感じられず、リアリティーがない。そして、主人公、なんでそんなに簡単に女子とヤレちゃうんだ〜??…ってこれは単に自分のやっかみだけど(笑)

逆に言えば、その「軽薄さ」こそがこの作品の独自性であり、魅力を感じる人にとっては魅力なのだろうと推測する。が、自分はダメだった。もう一回読み返せば何かしら良さが分かるかもしれないが…。
ちなみに、近々映画化されるとのことなので、そちらの方はぜひ観てみたい。
好みが分かれる作品…自分はダメだった
言葉とか、言い回しはとてもオシャレで素敵。
思わず笑ってしまうような言葉や会話が出てきて、思っていたよりも面白かったけど、自殺とか精神の病を美化してる気がする。物語だからそれでいいのかもしれないですが。
リアリティーがなくて、感情移入しづらい。
読んだ後も「ふ〜ん・・・それで?」という感じ。
でも、つまらなかったか・・・といえば、それも違う気がするし・・・。
文中に出てくる、主人公が読む小説やら、聴いている曲を知っていれば、もう少し理解できるのかな・・・。
オシャレ小説?
村上春樹の他の著書は読んだことはありませんが、
作品としては優れていると思います。
が、精神的に病んでいる、または不安定な方は
絶対に読まないほうがいいと思います。
そのくらい作品の引力が強いのです。
それゆえに優れていると評価したのですが・・・

「喪失と再生」とありますが、私には「再生」を感じられませんでした。 【禁忌】情緒不安定な人は読まないで!

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

[ 文庫 ]
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

・村上 春樹
【講談社】
発売日: 2004-09-15

参考価格: 540 円(税込)
販売価格: 540 円(税込)
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
村上 春樹
村上 春樹
カスタマー平均評価:  4
今まで村上春樹の作品を読んだことがなかったのですが、今回、カナダ人の友人に勧められ読んでみました。ビートルズの曲と物語の回想シーンとが見事に状況をとらえ、何回も読みたくなる本です。ストレートな文章から、忘れていたとてもデリケートな感性が呼び起されるような気がしました。 忘れていた感性
村上春樹さんの作品で、はじめて読んだのがこのノルウェイの森です。悲しい話なのですが、どこかファンタジーな感じもします。この作品が相当面白かったので、しばらく村上春樹さんの作品を読みあさりました。その結果、ノルウェイの森が、一番面白かったです。 恋愛ファンタジー
「幽霊」のように「存在感」がなく、この世を
たゆたく「僕」を通して、1970年代の学生のライフスタイルを
舞台装置に、生と性、死を描いた下巻です。

読み手によって、千差万別な解釈と評価がでることは必死な作品ですが、
この作品が、私の村上春樹氏デビューとなりました。

存在感のない「僕」、生きる目的も死ぬ意味もみいだせず、性に執着すること
もない「僕」の目の前を通り過ぎていくさまざまな人々。
とても、生き生きと生きているとは言いがたい「僕」と、彼らの、
思念を流れるままに、オートグラフしたかのような形式が、とめどない言葉の
ストリーミングとなって読者の前を通り過ぎます。

斬新な手法と、一見恋愛を描いたようなストーリーですが、深読みすれば
するほど、カフカ的な小説に見えなくもない。

「僕」ワタナベの過去の抜け殻を記憶に残すための、直子とキヅキ。
それに対して、今の「僕」の記憶をとどめるために存在する「緑」と「永沢」先輩。
過去と今をつなぐ「レイコ」さん。

自分の肉体と精神では、満足に生を生きられない、かわいそうな「僕」を
通して、過去の中の「過去と現在、そして未来」を回顧する、斬新な手法の本作品
は、言葉の嵐にどっぷりとつかって、現代の小説の洗礼をたっぷりと受けるに
ふさわしい、おもしろくも虚無的な作品でした。 生と性、そして死の観察者たる「僕」
心が動きました。

純愛の物語と言うよりも、喪失の物語と言えると思います。 

物語を通じて緑の存在が救いです。
緑の生命力が、主人公・僕の生きる力になっていると思います。

本当に大きな喪失は、時間と共に解決していくしかない。
どんなに心にポッカリと穴が開いても、記憶はいつか遠ざかっていきます。
記憶が遠ざかっていく事実におののきながらも、人は生きていける。

ポッカリと開いた穴に飲み込まれないように支えてくれる存在がいてくれること。
こんなに素敵なことはないと思います。 心が動きました
80年代発売当時「ハードカバー」にて購入したが、
捨て本と化した。程度の低い本である。若年層の精神レベルを
馬鹿にしたような不遜な本である。 80年代からの不良文学

さよなら、愛しい人

[ 単行本 ]
さよなら、愛しい人

・レイモンド・チャンドラー
【早川書房】
発売日: 2009-04-15

参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
さよなら、愛しい人 ※一部大型商品を除く
レイモンド・チャンドラー
レイモンド・チャンドラー
村上春樹
カスタマー平均評価:  4.5
前作の「ロング・グッドバイ」を読み、ハードボイルドの世界に酔いしれた。というよりもマーロウの言動に酔いしれた。男たるものこうじゃなくちゃと自分を戒めた。今回は出版年数でいうと「ロング・グッドバイ」の十数年前となる。ハルキ氏が言うとおり、ずいぶんと印象が違う。インパクトは前回のほうが上、ストーリー展開も今回は劣る。それでも、憎たらしいことを言っては痛めつけられ、危険な状況に飛び込んでは無事に生還する。やはりこういう生き方をしてみたい、と夢を見た。それだけで読む価値はある。 ハードボイルドだじょ
ハードボイルド派の王者チャンドラーの長編第二作「さらば愛しき女よ」1976年清水俊二訳が実に33年振りに村上春樹氏による新訳「さよなら、愛しい人」として甦りました。昨年は「長いお別れ」が「ロング・グッドバイ」の題名で出されましたが、今回は同様に「フェアウェル・マイ・ラヴリー」とはならず、ガラリとイメージを変える為に相当に苦労されたのではないかと思います。しかし結果的に見ると、歴史的名作という鎧を脱いで気取りが無くなった分(賛否両論あるとは思いますが)、今風のとても親しみ易い題名になったと言えるでしょう。今回どうにか旧訳のHM文庫を探して訳文を比較して私が感じたのは、昔の方が淡々として簡潔に書かれているのに対して、今回の訳は濃厚に感情が込められているという点でした。それは微妙な違いで、例として本書の最後の一文を以下に並べますと、旧訳「しかし、ヴェルマが行ったところまでは見えなかった。」新訳「しかしさすがにヴェルマが向かったところまでは見えなかった。」で、やはりそれぞれに違う味わいの良さを感じました。さて、今回読んで際立つ印象は若い私立探偵マーロウの大人気ないと言って良い奇矯なユーモアと言動です。何処の病院にいたと訊かれて「ペット病院」と答えたり、自分の印象だけで男を勝手にヘミングウェイと呼んだり、ピンク色の小さな虫の行方を気にしたりといった具合で、良く考えればタフな彼が深刻にならず正気を保つ為の方法なのでしょう。小娘アンがマーロウを評して「勇敢で強情で幾ら散々な目に遭わされても前に前にと攻め立て最後には相手を根負けさせる」と惚れ込む賛辞が最高です。物語はへら鹿マロイの野卑だが純粋な情愛と凄絶な最期に圧倒され、ある意味男よりも怖い悪女の仕掛ける非情な人間ドラマが読み手の心に深く刻まれるでしょう。ハードボイルド文学屈指の名作が再び華々しい脚光を浴びた事を喜び心から祝福したいと思います。 ハードボイルド文学屈指の名作が再び華々しい脚光を浴びた事を喜び心から祝福します。
本書を読み始めてすぐ村上作品と似た印象を受けました。芯を持った主人公。主人公が語る比喩表現(本作の探偵マーロウは冗談ばかりですが)。そしてsurreal(超現実的)な世界の描写。

個々に確立した存在感を持った脇役達。小説に欠かせない美女二人と野獣のマロイ。死の危険を犯して挑戦する生き方しかできな主人公マーロウ。そして、緊張感溢れる単独潜入シーン。それは何となく映画イノセンスの侵入シーンを想起しましたが、ミステリーとしても人間の愛と悲哀を書いた小説としても、ロマンスの芽生えのスパイスも効いており、お薦めできます。

また一方で、村上さんが自身の小説の表現スタイル等においてチャンドラーから多くの影響を受けたであろうことを感じることが出来る点でも貴重な作品だと思います。 村上作品に何処か通底するチャンドラーの優れた悲哀のミステリー
話題を呼んだ「ロング・グッドバイ」に引き続いてのフィリップ・マーロウものが(この翻訳者で)出ること自体、小気味良いフックのように「パツンと効いた」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?!ということで多少の驚きを契機に早速購入したのですが、「前作以上にスムーズかつスッキリした読了感」というのが当方の感想です。

その理由としては「村上調」に当方が慣れていることが大きいのでしょうが、今回は「過去の訳」を事前に読んでいたのも「スムーズな読了」につながったポイントかもしれません。とは言っても、実は(過去訳は)「途中まで読んで、そのままペンディング」していた実績があるので、やはり個人的には<村上調>が肌に合うのだと思われますし、「大枠の筋を知っていても十分に愉しめた」点が(当方の)本作の評価ポイントに反映されています。
(チャンドラーには不肖の読者ながら)さらに一歩突っ込んで<作品自体>に理由を求めるとするならば、それは「あとがき」に村上氏自身が書いていることと一致する気がいたします…(苦笑)。強いて例えるならば、「ロング・グッドバイ」が<レストランのカラフルなシーフードカレー>だとすれば、本作は<スパイスの効いたポークカレー>のような「シンプルだがクッキリとした切れ味とコク」を感じさせる逸品であり、ビートルズでいえば映画「ヤァ、ヤァ、ヤァ」のような、(優れているが)初々しさも感じさせる作品に映りましたが…どうですかね?

一点、個人的に難点(?)を上げるとすれば「帯の販促コピー(?)」でしょうかね…私だったら325頁の3行目の<キメゼリフ>をアレンジして使いたいような。※このセリフは当方の持っている「過去訳」には出ていませんでしたが…理由あるのかな? スパイスの効いたポークカレーのように
 文庫の清水版とハードカバーの本書がほぼ同じページ数。『ロング・グッドバイ』の時も驚いたけど、『さよなら、愛しい人』でも、前は省略されていたのを読んで感動していたんだ…という気持ちになりましたけど、今回はどちらかというと「清水さんが省略したくなるのもわかるわな」と思いました。

 というのも、マーロウが行動を起こすたびに、細かな人物、風景描写が必ず付くんです。それによって物語の流れがプッツン、プッツン途切れてしまう。

 どっちの読書体験の方が、より物語に入り込めるかといわれれば、清水訳の『さらば愛しき女よ』でしょうかね(タイトルもさすが映画屋さんだけあって清水さんの方がいいし…というか日本の翻訳小説全体の中でも『さらば愛しき女よ』は素晴らしいタイトルに入るでしょ)。

 村上さんも役者あとがきで《「ここまでややこしく書かなくてもいいだろうに」とついつい愚痴も言いたくなる》と書いていますが、とにかく村上訳で初めて全貌が見えたチャンドラーの作品の細かな描写には驚かされます。 清水訳『さらば愛しき女よ』の良さを再認識させられました

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

[ 文庫 ]
海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

・村上 春樹
【新潮社】
発売日: 2005-02-28

参考価格: 780 円(税込)
販売価格: 780 円(税込)
海辺のカフカ (下) (新潮文庫)
村上 春樹
村上 春樹
カスタマー平均評価:  4
 舞台が完全に四国に限定される下巻になっても、相変わらず少年の物語と老人の物語は、淡々と並行して交互に語られます。「ハイドン」などの共通項が、トランプゲームの神経衰弱のように配置され、ついに「入り口の石」を巡って、二つの話は合流します。しかし二人は結局出会うことはありません。

 そして読者は、著者から叩きつけられた挑戦状を意識するでしょう。ナカタ老人は一体何を象徴し、星野青年は一体何を代表しているのか。大島さんはなぜ登場しているのか。カフカ少年が高知の原野で見たものは…
 読者は数々の問いに対して、自分なりの答えを用意しなければならないでしょう。そうでなければ、この小説を読んだ意味はありません。中でも、ナカタ老人が象徴するものについての考察は必須課題かもしれません。

 二人の人間の「死」を経て、オイデップス王の場合とは異なり、最後に少年の「生」への前向きな決意で話は終わります。もう一つギリシャ神話と大きく違うのは、「姉」が介在することです。それとの関係性も含め、これからの少年の人生にあれこれ考えを巡らせることにしましょう。それは最後まで読み切った読者へのご褒美でもあります。 聖人と使徒の物語と迷える若者の物語の合流点
すべてがつながっていく後半。多分一日で読んでしまうくらい、おもしろい 海辺のカフカ下巻
 村上春樹の他の主要作と同じように、下巻からは一気に筆のギアが上がり、2つの世界が一つへと収斂されていき、メタファーのオンパレードとなる。この相も変らぬ手法についてはマンネリという批判は避けられないだろうが、ついつい読み進める気にさせるのが村上春樹の筆力の凄いところだと思う。

 また、本書は、これまで村上春樹が不思議と取り上げてこなかった母子関係に迫っている。本書に限らず村上春樹の多くの小説は少年が内面と外界との葛藤から自我を形成していく物語だと思うが、本書ではその過程で実は一番クリティカルな母子関係を中心に据えている点で、意欲的だと思った。このためもあってか、村上春樹のほかの作品よりも一層内省的な作品に仕上がっている。 ついに母子関係がテーマに
上巻で、凄まじい勢いで展開し、拡大し、膨れ上がった世界観は、やっぱり物凄い勢いで、急速に集約していきます。

登場人物たちはそれぞれ、自力で自分の宿命に決着をつける。
宿命を完全に消化する人、新しい運命を切り開く人、新しい運命を引き継ぐ人、みんなそれぞれ、帰るべき場所に帰っていきます。

漠然とした世界観を「メタファー」の一言で片付けているように捉える人が居るのも理解できます。
この作品に対して、「理解できない」「意味がわからない」という感想を持つ事は、ある意味当たり前で、ごく普通の感覚だと思います。

ただ、この作品は(というか、村上春樹の全ての作品通じて言える事ですが)、抽象の元になっている具象を敢えて明確にしない事で、最終的な解釈を読者に委ねているんですよね。きっと。
敢えて答えの余地を残す事によって、読者ひとりひとりが、それぞれ違う解釈や感想を抱く事が狙いなのだと、私は勝手に思ってます。
そしてそれは、決して読み手側に何かを押し付けようとしない、書き手側の優しさの現れのように思えます。
私は、自分自身が、この作品を理解し切れているとは到底思えません。
それでも、「世界の全てはメタファーだ」という大島さんの台詞は、私の中で凄く強く生きていて、何度も何度もこれに救われた気がします。

元々、人間の脳(或いは心)=フロイトの精神分析の構図を分解し、物語という時系列で再構築したものが村上春樹の作品であって。
海辺のカフカは、村上作品の中で最も、人間の精神構造とか魂、意識や意志のような、観念的な方向に迫った作品だと思います。

村上春樹自身も、この作品で新しい視座を切り開き、拡張している。だからこそ、読み手にもそれが伝わり、新しい何かが切り開かれる感覚を覚えます。

村上春樹の長編は、絶望と喪失の果てに、僅かだけど確実な希望が残る、という展開がお決まりだけど、この作品の果てに残される希望は、ちょっと他作品とは種類が違う気がします。
読むたびに、脳が浄化されるような気がするのは、私の勘違いかなぁ。
とりあえず私は、この作品が、村上春樹という日本が世界に誇る作家の持つ一番新しい能力の集約だと思っています。 喪失の果てに残された希望
カーネルって誰。
石ってなに。。。

読まなきゃよかった、正直にそう思う。
ものすごく読みにくかった。
現実を非現実の世界が全く融合している気がしない。
納得いきません。
預言って?

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

[ 文庫 ]
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

・村上 春樹
【新潮社】
発売日: 2005-02-28

参考価格: 740 円(税込)
販売価格: 740 円(税込)
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
村上 春樹
村上 春樹
カスタマー平均評価:  4
村上氏の小説はこの「海辺のカフカ」が初めてなのですが、
冒頭からの独特の文章と編成に少し戸惑いました。

別々のお話が代わる代わる進んでいく形式には読み進めて慣れましたが、
田村カフカ側のお話がどうも読みづらい感じがしました。
「例えば〜」と長々語られる別作品についての文章は
正直、あまり読む気が起こりません…。
所々の性描写もストレートすぎてあまり自分の肌には合わないように感じました。

一方でナカタさん側の進行は淡々としていて読みやすく、和みました。
(猫の心臓のくだりは他の方も仰るように、少々気分が悪くなりましたが…^^;)

村上氏の作品は良い評価も多いので、
一度触れてみる機会が出来てとてもよかったと思います。
ですが、今後また作品を読みたいかと問われると…微妙です。

読書経験の少ない若者の意見ですが、少しでも参考になればと思います。 村上春樹氏の小説は初読ですが…
 こういった作品に「謎解き」を期待するのは不謹慎なことかもしれません。当然、明確な答えなどは著者は用意していないでしょう。しかしそんな抑制も効かなくなるほど、細かな情景描写や心理描写がもどかしく感じられ、先へ読み進みたくなる作品です。
 物語は、唯一「東京都中野区野方」を共通点とする、少年と老人の話が全く無関係に並行して語られ、上巻の最後でようやく関連を持ち始めます。
 この2人のまわりに、さまざまな人物が行き来します。その中には、かなり浮世離れした人物が何人かいます。いわくありげな人たちの前史も明らかにされ、一幅の絵と、一編の曲に収斂していきます。

 老人と少年がどういう形で出会うのか。あるいは出会わないのか。出会うとしたら、それはやはり瀬戸内海の向こうなのか。少年は母と姉にも会うのか。そして、父の予言どおりの展開になるのか。なぜ、老人は猫との会話能力を失ってしまったのか。少年と老人のどちらが罪を犯したのか。・・・などなど。
 そして最大の謎は、戦時中に小学生たちを襲った「事故」でしょうか。・・・下巻に進まないわけにはいきませんね。

 もちろんストーリー展開を離れたところで、じっくりと心理描写などを味わうこともできます。多感な15歳の家出少年の揺れる心と大胆な行動。実社会とほとんど無関係に生きている老人の純粋無垢な心と、実社会のただ中にいる人たちとの珍妙なやりとり。そして、ときに前触れもなく起こる超常現象の数々。
 そして大島さんをはじめ、脇を固める人物たちの短くも印象的なせりふも、読者をうならせずにはおきません。 東京都中野区野方から始まる物語
タフな15歳の不思議な魅力にひかれる。まだつながらない登場人物にもひかれていきます 海辺のカフカ
 私は村上春樹のファンではないが、彼の主著はほとんど読んでいる。彼の小説はどれも、主人公の性格、モチーフ、文体といった点で類似しているが、この小説もその例外ではない。ファンは、また村上春樹ワールドに帰ってきたという感覚を抱くだろうが、アンチは、また同じパターンかよ、と感じるだろう。
 
 私は村上春樹はストーリー・テリングの天才だと思うが、本書でも村上は天才振りを発揮している。ここまで読ませてくれる作家は少ない。他方で、本書が文学として捉えられることには若干違和感を感じてしまう。村上文学の「文学」たる所以は、その象徴性にあると思うのだが、この小説は彼の他の作品に比べると象徴性の点でやや陳腐である。下巻がどのような展開を見せるのか楽しみ。 ストーリー・テリングの天才
一言で表すなら、無駄に長い。

無駄な面が多いと思う。 読んでいて深みがあまりないから、すらすら読んでいくことができなかった。確かに物語がひとつに収縮していくのは面白いんだけど、二つのストーリーを一つのものにまとめるための調整のために長さや描写の濃さに制限がでていたんだと思う。

でもこんな作品でも引き込まれるところはあって、後のところは結構つまらなかった。 無駄の多い作品

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

[ 単行本 ]
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

・スコット フィッツジェラルド ・村上春樹
【中央公論新社】
発売日: 2006-11

参考価格: 861 円(税込)
販売価格: 861 円(税込)
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)
スコット フィッツジェラルド
村上春樹
スコット フィッツジェラルド
Francis Scott Fitzgerald
村上 春樹
村上春樹
カスタマー平均評価:  4.5
人妻デイジーに思いを寄せるギャツビーのひと夏の物語。
主人公というか物語の主な視点となっているは、ギャツビーの隣人のニックである。
日本人でこの本を読んだ人の大半は、訳者の村上春樹の「ノルウェイの森」を既に読み、その中で出てくる作品だから読んだ、というのが最大の理由なのだと思う。私もその内の一人だ。
村上春樹が「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本」の一つとして挙げている作品でもあるが、他の日本人読者同様、それほどの作品とは思えなかった。少なくとも私の読書経験の中でベスト3に入るような作品ではない。
海外では、フィッツジェラルドの死後に評価が高まった作品のようだが、海外での評価や村上春樹のこの作品に対する評価が納得できるようになるのは、やはり英語の原文で読み終えてからなのかもしれない。 訳書だと海外での評価ほどのものとは思えない作品の1つ?
ニック・キャラウェイが隣人、ジェイ・ギャツビーらさまざまな人たちとのひと夏の物語を回想する。
前半で主に舞台となるのは、パーティーの席上だ。
それは、ギャツビーの豪邸で、トムの愛人のアパートで、酒と白粉の混じったような匂いを読者に喚起させる。
1920年代のアメリカの上流階級(現代も、どこの国でも、上流階級のパーティーは存在するのであろうが)の生態がかいま見られる。
虚無的で華やかな始まりであるが、後半、物語は暗転してゆく。
結局、3人の死者を出して物語は終焉するのであるが、見事なストーリー展開と描写に圧倒された。

ギャツビーの、デイジーへの叶わぬ恋への情熱は、男性読者には、痛々しく感じられるであろう。しかし、恋、そしてそれが成就しない時に心が受ける衝撃、の隅々を、ここまで見事な文章に落としている著者フィッツジェラルドの文章力はさすがである。

訳者は人気作家の村上春樹氏である。
作家「村上春樹」の黎明期、「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」などの作品を読んだが、それらに比べると、本作品は非常に重層的で、密度が濃い。
村上氏が、読者として夢中になり、小説家として目標の一つにしてきた、というのはまったく頷ける。 社交界の群像から悲劇の展開へ
20世紀最高の小説ランキングで「ユリシーズ」に次いで2位にランクされたのがこの「グレート・ギャッツビー」で、スコット・フィッツジェラルドの最高傑作とも言われている。

第一次世界大戦後のアメリカを舞台にして、男と女と金と愛を凝縮して描いてあり、(好き嫌いはあれ)誰が読んでもそれなりの読み応えはあると思う。
特にギャッツビーの姿は、熱烈な恋の夢を現実に叶えようとするグレートな男そのものであり、デイジー(相手の女)の姿もシュールに描かれている。
だがそれだけではなく、フィッツジェラルドの作品に共通して言える素晴らしい共通点は、自分が経験を積んで歳をとると「さらに新しい発見を見出せる」ことだと思う。


訳者の村上春樹は「ノルウェイの森」の中でも「グレート・ギャッツビー」とフィッツジェラルドを引用しているほどで、他の訳者を寄せ付けないくらいに最高の翻訳をしていると思う。
それは日本を代表する(今や世界的)小説家が翻訳したからこそ出来上がったのだろう。

ちなみにフィッツジェラルドの作品で、「夜はやさし」は「グレート・ギャッツビー」をしのぐ傑作とも言われているが、ギャッツビーの方が「派手な作品」なのでこちらから読んだ方がフィッツジェラルドの世界に入りやすいと思う。また、村上春樹一押しの「バビロンに帰る」という短編(同じタイトルで短編集がある)もあるのでそちらも読んでみてはいかがでしょうか? フィッツジェラルドの最高傑作
素晴らしい訳だと思います。現代との時代背景の違いがまったく気になりません。しかもこれほど原文を気にさせない翻訳というのはこれまであまり読んだことがありません。英語文学からの翻訳を読んでいると、ああ、この箇所には英語のこういう表現が使われているんだろうなぁ、これはきっとあの表現の日本語訳なんだろうなぁ、と、常に原文である英語が頭によぎり、それが邪魔で、結局、面倒くさいのにわざわざ原本を買いなおして、何倍もの時間をかけて読んでしまうということがこれまでよくありました。この村上訳グレート・ギャツビーに限っては、言語を超えて物語が直接語りかけてきました。お見事、の一言。ただ、比喩表現が村上氏特有の「まるで〜みたいに。」と続けて何箇所も訳されているところがあり、それが少し耳障りでした。これは氏の小説を読んでいる時も気に障る部分なので、単なる私の好みに合わないというだけですが。

村上氏もあとがきの中で述べられていますが、この小説は冒頭と結末の部分が圧巻ですね。小説として、ここまで明確に簡潔に主題が述べられているというのも珍しいですし、そしてその主題を巡ってこれほどドラマティックな、全ての出来事が最後のその一点に辿り着くように緻密に筆が進められていることは、まさに職人芸。喧騒さというか色のトーンというのか、行間から湧き上がってくる香というのかが、前半と後半では見事に180度正反対で、話の筋とは別の次元でいつも読む度に酔っ払ったような気分にさせられます。フィッツジェラルドはこれらを計算しつくして書いたのでしょうか。結果としてそうなったのでしょうか。いずれにしても天才だ。 ギャッツビー、村上訳で現代によみがえる
ギャツビーが『白痴』のムイシュキンのように、はかなく、ゆらぎ、蜃気楼のようにたゆといます。
色鮮やかに颯爽と過ぎ去っていくお話、感覚は、他にはない「感触」を私たちの心に残していきます。ちょうど同じ頃に、フォークナーの『8月の光』を読んだので、その対照的な読後感にそれぞれ深く感じ入りました。
ギャツビー自身を作品全体が、隠喩しているような、そんな作品でした。 「はかなさ」の幻影

モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号

[ 単行本 ]
モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号

・柴田 元幸
【ヴィレッジブックス】
発売日: 2009-04-20

参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号
柴田 元幸
柴田 元幸
カスタマー平均評価:  4.5
村上春樹さんのインタビューを読む機会がなかったので最初のインタビューだけで、すでに満足でした!価値ありです。
大満足
柴田元幸さん責任編集文芸誌『モンキービジネス』最新号には、村上春樹さんのロング・インタビューが掲載されています。

村上春樹、聞き手 古川日出男「「成長」を目指して、成しつづけて―村上春樹インタビュー」 『monkey business 2009 Spring vol.5 対話号』ヴィレッジブックス

70頁以上にわたるロング・インタビューで、読みごたえも充分。村上さんが珍しくも、自らの作品について、時代をおいながら、コメントしてくれています。小説を書くことに対する、村上さんのものすごくストイックな姿勢に、ひどく心打たれます。 

『風の歌を聴け』からはじまって、もうすぐ発売される最新長編小説(『1Q84』新潮社、2009年5月29日発売予定)にいたるまで、村上さんが「みずから書きたいと思う小説」を、ただそれだけをひたすら書きつづけてきたということが、よくわかりました。言葉にすると簡単なようだけど、そんなことを心の底から言えるような作家は、世界でもおそらく数えるほどしかいないように思います。 

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』を超える総合小説。村上さんが目指す先も、ほんのちょっぴりとコメントしてくれています。なんとも大きな話で、一読者としては、新刊長編への期待は膨らむばかり。 

村上さんが同時代の作家さんで、こうやって最新の作品を楽しみに待つことができるのは、なんと幸せなことでしょう。その幸せをかみしめながら、新刊の発売を待ちたいと思います。 

その他にも、僕の大好きな川上弘美さんが小川洋子さんと対談していて、お得感たっぷりです。こちらもまた、とっても楽しめました。 「健全な身体に宿る不健全な魂…」
2008年12月の村上春樹氏と古川日出男氏と対談が 
掲載されています。 

先ず「肉体から小説を作る」という話題から始まり、 
海外で書き始めたきっかけや、  
「ねじまき鳥クロニクル」を書きあげた時の状況、 
「アンダーグラウンド」に対する思い、 
一人称から三人称への移行、 

それから、アメリカの9.11事件の話から 
なぜ村上作品が多くのヒトに 
受け入れられているのか、 

さらに、今後の活動について語られています。 

彼は、平凡なヒトでありながら、 
やはりすごいヒトなんだと、改めて思いました。 
そして、イマの時代に適合したヒトなのだと思う。 
新作がますます楽しみに。

もうひとつ、 本書で魅力的だったのは、 
2大女流作家といってもいい、 
小川洋子と川上弘美、お二人の対談。 
とても興味深い話が展開されています。 

小説を書き出した経緯、 
物語を始める“とっかかり”や 
“わたし”というもののとらえ方 
小説との距離感の話。 

お二人の作風の違いが顕著に表れている。 

さるきちが特に気になったのは、 
「輪郭の見える小説と顔の見えない小説」 

小川氏は登場人物をじっと見て物語を作るといいます。 
だから、細部まで描くことができる。 

一方で川上氏は俯瞰しながら書くというのです。 
だから、顔とか服装とかぼんやりしている。 

こうした話が、最近の「猫を抱いて像と泳ぐ」、「風花」を初め、 
「博士の愛した数式」、「どこから行っても遠い町」 など、 
代表作を引用しながら語られています。 

お二方の多くの著書を読まれた方には  
とても楽しんで読める内容でしょう。 


雑誌のメインテーマは「対話」。 
それに基づき、詩や俳句、マンガ、 
小説なども掲載されています。 
お腹いっぱいの一冊です。 お腹いっぱいの一冊。
 巻頭の村上春樹インタビューは大満足でした。自分の作家人生を振り返り、一人称から三人称までの移行に10年をかけたこと、インタビュー集(「アンダーグラウンド」など)や紀行取材本(「シドニー!」ほか)等の仕事でも、文体や語り手の視点の処理を一冊一冊アスリートのように学びながら書き手として進化しようとしていることが語られます。語り手としての彼の文学観や問題意識がうまく読者に明らかにされていると思います。

 また、個人的には、「象を撃つ」(G.オーウェル)の柴田訳もお目当てでした。訳自体がこれまでの本訳と大きく違うことはありませんでしたが、こういう過去の名品も新しい読者に紹介し続けてほしいと思います。

 クオリティを維持しつつ文学を扱うのが難しい時代ですし、ネタ切れが怖い気もしますが、地道に続いてほしい雑誌です。 春樹自身が過去の作品群を解説する
読み応え十分のインタビューに満足。
1Q84の発売を控える村上さんのインタビューからは、作家の意気込みが伝わる。
作家は体力だ。
不健康では作品は生まれない。
自分に対する啓示がなされていた。 春樹さんからのスロウボート

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

[ 文庫 ]
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

・村上 春樹
【新潮社】
発売日: 1988-10

参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
村上 春樹
村上 春樹
カスタマー平均評価:  4.5
そう言わざるを得ない作品です。数多くの村上作品を読んできましたが、これを越えるものは恐らくないと思います。村上春樹アレルギーじゃない人は絶対読むべき作品個人的なは世界の終りの世界観が大好きです。 最高傑作(異論は認める
一般の方にとって、村上春樹といえば「ノルウェイの森」だとか「海辺のカフカ」なのだが、その実、村上春樹ファンの中で最も評価が高いのが、この「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」なのだ。影を奪われ心を失いつつある「僕」が、壁に囚われた街で一角獣の頭骨から夢を読む事を生業とする「世界の終わり」。システムに属する計算士の「私」が、ファクトリーに属する記号士ややみくろと攻防を繰り広げる「ハードボイルド・ワンダーランド」。この全く趣の異なった二つの話が交互に進行してゆく。 「世界の終わり」の無味乾燥で退廃的な原風景。「ハードボイルド・ワンダーランド」のニューエイジ的な殺伐とした空気…。しかし、設定も時間軸も何もかもが全く異なった二つの世界は、「一角獣」という各世界をジョイントするアイテムによって、徐々にその関連性を増し、一気に物語の核心へと加速してゆく。 純文学の体裁ながら、シュールレアリスムやSFまで加味された、重厚かつ精緻な世界観にはひたすら気圧される。意味深長でありながら軽妙なユーモアも織り混ぜた村上春樹特有のタッチで綴られるそれぞれの異世界は、霊妙ですらあり、まさに、彼のイマジネーションの賜物なのだ。これは、戦後の日本文学における極めて重要なアイコンであり、同時に村上春樹の金字塔だといえよう。 未読の村上春樹愛読者は言うに及ばず、一般の読書家にも、最早必携の書である。この小説には、読者の人生観を雲散させて再構築してしまう程のパトスがある。そして、読者を決して裏切らない。 未だに、村上文学の最高峰
夢想的な「ハードボイルド・ワンダーランド」。幻想的な「世界の終わり」。
2つの話が交互に展開されるわけですが、
なんだか浅い夢と深い夢を交互に見るような。あるいは夢の中で夢を見るような。
終始不思議な感覚でしたな。
某は退廃的で夢見がちなタイプなので、この作品とはすこぶる波長が合いました。
最近読んだ小説の中では一番のお気に入りです。

それにしても、あそこで「ダニー・ボーイ」を出すのはずるい。
あのノスタルジーな冒頭のメロディーを思い浮かべた瞬間、主人公にリンクした気がして
ぶわっと涙が出ましたよ。畜生。 ダニー・ボーイ
一回見ただけでは何がなんだか・・・しょうじき筋がつかめません
はっきりって構成はでたらめな感じがします。ハルキムラカミの仕事はだいたいにおいてそうですが、一部例外を除けば、最初に大きなだいたいの地図を描くのでなく、地図の細部から描きだして、木の枝、植物の根のようにそれらを広げていきます。この手法では物語に落としどころをつけるのが非常に困難でしょう。しかしハルキムラカミはそれができる人です。だから物語として成立します。凡人はまねしないほうがいいです。痛い目にあいます。

この話ははっきりいいましてカオスです。そうです、ちょうど、私たちが夜に見る夢のようです。めちゃくちゃです。

まだ一回しか読んでないのでこんな感想ですみません。
次読むのは5年後ぐらいになりそうです。 すごい作品 一回みただけではわからない
暗闇は空間を均一化する
明るいところでは自分を中心とした距離もありあそことこことに差があるが、暗闇はそれをすべて奪い去る、つまり、あそこもここも区別が無くなるということだ。
 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」という作品は2つの世界が交互に現れる。ハードボイルド・ワンダーランドでは時間が加速したり減速したりひっきりなしに事件が起きて「私」はひと息つくこともできない。それに対し世界の終わりではゆったりとした時間が流れる、そして「僕」は光を失い「影」と別れる。生命の繰り返しがつづき人は記憶を失う。つまり、世界が「終わる」とは時間・空間の均質化なのである。世界自体は続くのではあるがそれは、「終わる」ということに等しいのだろう。
 ところで、私たちは今科学が発達したいわゆる文明社会というものに生きているが、このような均質化が身近なところに潜んではいないだろうか?タレントがはしゃぐだけのテレビ番組、いつ動作しても同じ結果しか出ないコンピューター。ハードボイルド・ワンダーランドで技術の発達が世界の終わりの危機をもたらしたように現代の科学技術も世界を終わらせうるものではないのだろうか?
  リアルな物語

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 更新日 2009年5月31日(日)  ※ 表示価格は更新時のものです!      メール