松本オムニバスとは
2008年度後期に行うイベントは、劇場内や美術館内のみに留まらず、舞台を松本市街へと広げ、松本市の記憶を読み取ることを、芸術的表現へと転化させていく試みです。
このイベントのテーマは「街を読み取り、未来に向かう芸術」の、ひとつの実践例を提出していくことにあり、また、芸術を介して、異なるジェネレーション間におけるコミュニケーションの活性化を促すことを目的としています。
まず、リサーチ範囲は、松本駅から信州大学までの地域、学生達が様々なルートから街を探索し、その中で、今は見えなくなってしまった松本市の過去のできごとである、「松本市の人々の記憶」をリサーチし、それらの素材を元に創造された身体表現、美術展示を鑑賞しながら、観客がバスで市内を巡る、移動型の美術・パフォーマンスイベントを企画しております。
過去を遡ることから生じる現代的視点をもつ芸術表現、学生という若い世代から発せられる現代芸術へのアプローチは、市民にとって“ある種の異物”=異化効果として機能する、斬新な試みや実験性のある芸術イベントとなることでしょう。
しかし、それらは、芸術の歴史的背景、市の記憶を探っていく作業からはじまり、異なる年齢層間のコミュニケーションにもつながっていくことと確信しています。
これらのイベント企画を通し、大学という研究機関と市とのコミュニケーションを、公的機関レベル、市民との個人交流のレベルにおいて、ひとつひとつ丁寧に築き、芸術文化の地域社会への確実な浸透と、新しい芸術の意義を問う、思考力と創造力を生み出していくことを課題としています。